年長組の子どもたちの1泊キャンプの様子です。
キャンプ報告号として保護者の方に配った手紙と同じ内容ですが、かなりの長文です。
平成23年7月8日(金)~9日(土)
場所:YMCA阿南国際海洋センター
登園
待ちに待ったキャンプの朝。
見上げれば青空、いい天気。
T「おはようございます!いよいよやね~!」
母「この子、楽しみすぎて朝の5時から起きてたんですよー。まだ早いけん、寝ときって言うて…(笑)」
「ほなって楽しみなんやもーん!」
「ぼくのママねぇー、悲しいよーって昨日の夜泣っきょったんよ」
「そうなん?ぼくのママは泣いてなかったけど、弟が泣いてた」
「おかあさんに『さみしくない?』って聞かれたけど、たのしみだったんよ!」
「海に行くん初めてなんよー」
「ぼく、浮かぶん楽しみ!」
「ぼくはぜーんぶ楽しみじゃ」
出発
T「それじゃぁそろそろバスが出発するよー」
「ちょっとまって!いま(窓の外でお母さんが)しゃしん撮りよるけん!」
「いってきまーす!」「ママも元気でね!」窓の外に手を振る子どもたち。
初めて子どもと離れるお母さん、どんな気持ちで見送ってくれているのでしょうか。
手を振りながら、涙ぐんでいるお母さんも…。
仕事があって幼稚園で見送りできなかったお母さんも職場の前で「いってらっしゃい」と手を振ろうと待ってくださっていたらしいのですが、今年は出発準備が順調で、予定より4分早く出発したため、すでにバスは行ってしまったあとでした。残念。お母さんごめんなさい。
バスの中
「○○くんのお母さん、泣っきょったなぁ」
そんなお母さんたちをみて、寂しい気持ちになってしまった子も何人か…。
「うちの弟、わたしがおらんかったら寂しいんよ」と言いながら本当は自分が寂しいのかも。
いつもは早く登園してくるAくんが今日は集合時間ギリギリだったので、
T「今日どしたん?来るん遅かったねぇ」
「キャンプに行くん嫌って言よったんよ」 T「えーっ!」
「ほんで、かき氷作ってくれたら行くって言うて、作ってもらいよったんよ、へへへ」
楽しみにしていたキャンプだけど、お家のひとと離れるのはやっぱり寂しいし、子どものなかでいろんな気持ちが複雑に揺れ動いているのでしょう。
そんな子どもたちもバスが進むにつれて、友だちとのおしゃべりに夢中になり、寂しい気持ちもどこかへ…。
「わたし今日パパより早く起きた!」
「ぼくが朝『ほな行ってくるわ』って言うたらな、『おかあさん寂しい』って言よったんじょ。ほなけど『楽しんでおいで』って言よったわ」
「おれのお母さんは『いってらっしゃい、これで楽になるわー』って言よったよ」
T「みんなはキャンプで何が楽しみ?」
「カニつりー」「寝るんが楽しみ」「行くんが楽しみ」「全部!」
次々と答える子どもたち。楽しみにしている様子が表情からも伝わってきます。
「今って、大阪?」
T「今は、阿南市。でも、徳島県だよ。」
「へぇ~」
T「みんなが行くYMCAも徳島県なんじょ」
「えーっ、うそ-、知らんかった…」
「あ、パパの会社が見えた!」
「ここの店、行ったことある。パスタ2人前食べたんよ」
バスの外に見えるのは、田んぼや空、そして家・・・。屋根が瓦で出来ている懐かしい家を見て。
「見て見て、殿様の家!」(最近は、こういう家あまり見ないよね。)
四国電力の火力発電所の横を通りながら
「うわー、何あれ?なんか光んよるわ。ロケットみたい。3,2,1って宇宙に行くんかなぁ?」
T「ここで電気を作ってるんだよ」
「すごい大きい!もしかしてカミナリに電気あげるんちゃうん?」
一人が歌い出すとみんなの大合唱に。
「キャンプだホイ♪」「♪アーループースーいちまんじゃーくー♪」次から次へと続きます。
イントロあてゲームをしたり、クイズをだしあったり。
「中が黄色で外が白。これなんだ?」
「たまごー!」「せいかーい!」
「やまびこってな、返ってくるけど、あれっておばけがしよんじょ-」
「うっそー!おばけー?」
バスの中はずーっと賑やか。そこで、
T「もうすぐトンネルだから、その間お口チャックできるかな?トンネルの間しゃべらなかったら、みんなの勝ちね。よーい、スタート!」
「・・・・・・・・」トンネルを抜けたとたん「ぷはーっ!」みんな息まで止めてたのか…、次々にしゃべりだしました。
その後も、橋を渡っている間はしゃべらない、とか。お口はチャックしてるものの、みんなの顔はニヤニヤ(*^▽^*)
そこへ後ろからパトカーがやってきたのをみつけ、「おいっ、警察じゃ。ちゃんと(前のハンドル)もっとかな。」
みんなサッと前を持ち、背筋を伸ばします。後方ではシートの間に隠れようとする子も。T「ちゃーんと座ってたら大丈夫なんですけど?それって、ちゃんとできてないってことなんかな-」
バスは国道を離れ、椿泊への1本道へ。横にはきれいな川が流れています。
「うわー、きれい。魚おりそう」
(この椿川は毎年春になるとシロウオ漁がおこなわれるところです。)
「クラゲおる。クラゲ!」「電気クラゲちゃうん?」
「先生、なんでここは信号ないん?」
(県道に入ってからYMCAにつくまで、信号はひとつもありません。)
前方に海が見えてきました。
「うわっ、海!めっちゃきれい!」「ほんま、きれいやなあ」「水色にピカピカ光っとるなあ」「サメおるんちゃうん?クジラも」
誰からともなく、「♪うーみーはひろいーなー♪」と合唱が。
やがてバスはくねくねの山道へ。登りながら右に左にカーブが続きます。
「ジェットコースターの道じゃ」「なんかこわいよー」
「サルとかヘビとかでてきそう」「なんか嫌な予感がする」
みんなちょっと緊張気味。イスの前のハンドルをしっかり握りしめています。
木が生い茂って少し暗くなり、道も狭くなって窓から外を覗くとずいぶん高いところに上がってきました。
「森のトンネル-」「わたしたちの秘密のところ」「ゆうれいも」
「バスがんばれがんばれ!」「おっちゃん、すごいなー」と、ひそひそ…。
木々の間から見える入道雲をみて、
「もくもく煙みたいなわたがし。なんかもうお腹すいてきたわー。まだ着かんの?」
そんなことを言ってるうちに、YMCAの看板が見えてきました。
キャンプ場の入り口ではリーダーたちが手を振って出迎えてくれています。
「あっ、リーダーや!リーダー!」
「ねぇ、今からめっちゃいいこと始まるなぁ」
「めっちゃ、たのしみー」
キャンプイン
レクチャーホールに集まって、リーダーからお話を聞いたあと、自分たちの荷物を持って宿舎に移動です。
歩いて運ぶと結構重たいけど、がんばらなくっちゃ。
道の途中には、たくさんのフナムシが。
さあ、あと少しで着くよ。
大きい荷物は先生たちがリヤカーで。
でも、最後の急な上り坂がきついよー!
昼食
みんなで輪になって、お家の人が作ってくれたおにぎりをいただきました。
「せんせい、ぼく、つけもの入っとるよ、たくあんよ、たくあん」
「先生のおにぎり、中に何入っとん?」
「私、うめぼし!一緒やなあ」
「ぼくの好きなハムのおにぎり」
「私、おにぎり3個」(あれ?2個のはずだったんだけど…)
「おかあさんが早起きしておいしいん作ってくれたんよ」
「私はおばあちゃんが作ってくれた」
「先生のは? … えーっ!自分で作ったん?お母さんじゃなくて?」
「みてー、私の好きな福神漬け。これ食べたら、ほんま元気でるんよなー」
「よーし、もりもり食べてカヌー1番めざすぞー!」
あちこちで楽しい会話がはずんでいます。
愛情いっぱいのおにぎり、みんなでおいしく食べました。
お腹もいっぱいになって、いよいよ海のプログラムの開始です。
宿舎からの足取りも軽く、さあ出発。
広場のポールに幼稚園の園旗をあげたあと、ライフジャケットを装着。
これを着ていたら絶対に沈まない魔法のジャケット。
リーダーの説明を聞いて、まずは自分で着てみるのですが…。
子ども用のジャケットにはベルトが4本もついているので、上と下の留め具を間違えてしまったり…。
「これ、どうするん?これであっとる?」
「できん、かたい!」「してー!」
股下を通すベルトを探しながら「おーい、おれのしっぽはどこいったー?」
初めて着るライフジャケットにみんな悪戦苦闘。
「これがあるけん、沈まんのよな」
「なんかロボットみたいやな」
最後に先生たちがぜーんぶチェックして、みんなでバディ。
「番号!」「1,2,3,…」
一人ずつパドルを持って、カヌーの説明を真剣な目で聞く子どもたち。
力をあわせて、カヌーを海まで運びます。
カヌー
1艇に2チームずつ、全部で4つのカヌーが出発!目指すは竹田の浜。
カヌーの中の様子は様々だったようで…。
①乗る前はとっても楽しみにしていたのに、いざ漕ぎ出すと緊張しているのか、一所懸命漕いでいるのか、かけ声も少なく、おしゃべりもあまりなく…。
T「みんなで息を合わせて漕げれるように合い言葉決めへん?」
「ほれ、いいなー。ほな、ぶどう、めろん、って交互に言うんは?」「ほんなん、前から後ろ、前から後ろ、がええわ」
結局、「前から後ろ」と声を合わせ、息もぴったり。
②「1,2,1,2!」かけ声よくスイスイーっとよく進むので先生がちょっと休憩しようとすると「先生、あかん、ずるいー!ちゃんと漕いでよー」
③最初はみんなで「1,2,1,2!」と漕いでいたのに、なかなか進みません。
「1,2,1,2,だったら力が出んよ」
「よいしょ、よいしょ!は?」
「それいいねー」
「じゃあ、よいしょ、よいしょ!にしよう」
④「あーっ、先生、○○くん、手はなしとー」
見ると、パドルが海の上をプカプカ。ボートのリーダーに拾ってもらって一件落着。
でも、子どもだけじゃなく、先生も帽子を流してしまったりしたんだけどね。(^-^*)
後ろにいたカヌーに拾ってもらって、よかったよかった。
⑤岸を離れてだんだん深くなっていく海の底を見て「うわぁー」と不安になったり、「先生、どこまで行くん?」「ここで夜になったらどうするん?」と心配の種はつきません。
⑥「みんなで声あわせて漕いだらいいんちゃうん?」「1,2,1,2でいいんちゃうん?」それから「ワン、ツー、ワン、ツー」になったり。
⑦「1,2,1,2」のかけ声がいつの間に「ファイトー、いっぱーつ!」に。
それにあわせてスピードもアップ。
「よーし、みんな、がんばろー!」
「一番になるぞー!」「おー!」
⑧「先生、もう漕がんでいいよ。先生は休憩しとって。あとは、ぼくやが漕ぐけん」
⑨海に手をつけて、ペロッとなめて、「しょっぱい!」「どれどれ?」
何度もなめて、「目にくるなあ、これ」
竹田の浜
到着したら、キャプテンがメンバーを集めて、みんなでバディ。
海遊びでのお約束をして、早速海の中へ。
「冷たいけど気持ちいいー」「ねぇ、あっちまでいこうよ」
足が着かなくても浮いているのに大喜び。知らない間に足が着かなくなっているのに気づいて泣きそうになった子も、ライフジャケットのおかげで浮かんでいることがわかると、だんだん笑顔に。
泳ぐことより、岸辺で貝殻を拾ったり、石をひっくり返してカニを探すのに夢中になる子も。
手をなめて、「しょっぱーい」「塩水やけんだろ」「なんか、あまーいよ」。
(ひょっとして、天然のミネラルをかんじとっているのかも?)
帰りのカヌーも、みんなそれぞれ。
①T「みんな頑張って、先生に楽させてよー(^▽^)」
「先生が一番がんばらなあかんでー」。
②行きと同じく、ほとんどおしゃべりせず、もくもくと漕ぐグループもあれば、
③「先生、やすんどきよ。ぼくが漕いだげるけん」と頼もしい言葉に、ゆっくりしていると、「先生!言うこと聞くなー、サボらない!」と、優しかったり厳しかったり。
みんな最後まで頑張って漕ぎました。
お風呂
海から上がった後は、お風呂に。
菖蒲湯のときは、男湯と女湯に分かれて入ったけど、今日はみんな一緒。
「ここに全員入れるん?」
大浴場とはいえ、40人が入るとさすがにちょっと狭いけど。
仲良く一緒の湯船につかって、ポカポカいい気持ち。
その間に、洗濯おばさんになった先生は子どもたちの服をきれいにして宿舎へ。
お風呂からあがると、みんなの着替えを置いていたブルーシートが風でめくれそうに。
何か重しを…と先生がきょろきょろしていると、それに気づいた○○くん。突然シートの上にうつぶせになって、体を張ってシートを押さえてくれました。
でも「これじゃ、ぼくが着替えられないよ」
素早い行動、ありがとうね。
お風呂でぬくもった体に、海からの風が心地よく、宿舎まで、のんびり歩いて帰ります。
「なぁ、先生。このあとって、カニつり?」
「何匹つれるかなあ」と、気持ちは既にカニつりに…。
カニつり
ひょっとしたら、海遊び以上に楽しみにしていた子がたくさんいたかもしれないカニつり。広告紙を丸めた竿にひもをつけて…、えさは「赤い方がいいかもしれませんよ」というリーダーの情報をもとに、今年は福神漬け。
石垣の間にいるカニを、さぁ!釣るぞ-!
と、すぐさま、「釣れたー!」の声が。
赤色効果、抜群!
カニと向き合う姿はみんな様々…。
まだ1匹も釣れてないのに、「ぼく、先生の分も釣ったげるけん、大きいの待っといてよ。まあ、完全に釣れると思うけど…」
「うわぁ、ここでっかいんおるわ!」
「でっかいん、釣れたらどうする?」
「食べたらいいんで」「今日の晩ご飯、カニご飯ちゃうん?」
ここは釣れないとみるや、早々に場所を移動する子もいれば、1カ所でじっくり構える子も。
「先生、おれはカニの気持ちがわかったんよ。このまま隠れて人間たちが過ぎ去るのをじーっと待つか、大好物の福神漬けのためにノコノコ出てくるか…きっと迷い中じゃわ」
1匹のカニを目当てに女の子2人が無言の対決。そこに別の子が「あっ、おったおった」と入ってこようとすると、「あかんよー!」「そうよー!」で、そーっと退散。
すると1人の女の子の方にカニがかかりましたが、途中でポンって落ち、「おしかったなー」「ざんねん」と、この勝負引き分け-。
カニが怖くてなかなか釣ろうとしない子は「見にいくだけ見にいこー」と手をひっぱってもらっても「いやよー」とへっぴり腰だったり、自分に言い聞かせるように「おれは勝つ。絶対釣ってやる!カニに勝つ!」。
なかには、バケツの中のカニにえさをたらして釣り始める子も。それじゃ、釣り堀だって。
「チャンスだったのに、釣れんかった」
「カニ、おねむだったんよ」
「あしたは、せんのー?」
夕食
みんながカニつりに夢中になっている間に、担当の先生が配膳。こんなにたくさん食べられるのかしらと、心配しながらだったのですが…。
いっぱい遊んで、お腹はペコペコ。
ハンバーグに唐揚げ、エビフライにメロン…、どれもおいしそう。残念ながら、カニはありませんでしたが( ^-^)
みんなが席に着くまで待っている間、「先生、味見してもいい?」と、早く食べたい様子。みんなでお祈りしてから「いただきまーす!」
「おいしいー!」「家では食べるん遅いけど、これおいしすぎ!」と、みんな食べるのが速い速い。「もうちょっと力いれとこかー」と、おかわりをする子もたくさん。「よっぽど、おなかすいとったんやなー」
「今日は、ほんま過ぎるんが速かったわ」「ほんま、さっき来たばっかりやのに」「わたし、あと1週間くらいここにおりたいわー」「やっぱり、来てよかった」
たくさん動いたし、おやつも食べていなかったからか、みんな本当にたくさん食べました。
食後は一人ずつお片付け。食堂のおばちゃん、ごちそうさまでした。
キャンプファイヤー
夕闇迫るファイヤー場。ちょっぴり家が恋しくなってきた子も…。
「あー、明日が楽しみじゃ。だって、うちのみんなに会えるもん」
しくしく涙が出てしまった子の顔をのぞきこんで「どしたん?お母さんに会いたいん?」「ううん」(グッと我慢している様子)「今からキャンプファイヤーやけんな。楽しいけんな」
火の女神が運んできた火があたりを照らして、キャンプファイヤーが始まりました。
パチパチと燃え上がる火の粉。
「蛍みたい」「線香花火!」
大阪弁の元気なリーダーと一緒に、楽しいゲーム大会。
普段だしたことのないくらい大きな声で大盛り上がりでした。
最後は静かに歌を歌って、阿南の夜は更けていきました。
寝る準備
みんなで床いっぱいにマットレスを敷き詰めて、シーツをかぶせていきます。
「そっちの端もっとってよ」と、2人1組で上手に息を合わせているところもあれば、こっちをひっぱればあっちがずれて…「せんせー、手伝って-」。
一面にしかれた真っ白なシーツ。「雪がふったみたいやなー」と言ってるそばから嬉しくて走り回ってぐちゃぐちゃになってしまったり。
歯磨き、トイレを済ませて、「なあ、一緒に寝よな」「こっちきーよ」と、それぞれの寝場所も決まって。
中には、「なーなー、せんせー、だっこして(*^_^*)」。
先生が、今日のキャンプの様子や明日のことを話したり、お話を読んでいるうちに次々と眠りに…。明日も元気に遊ぼうね。